設計事例

清水焼の郷

清⽔焼の郷会館は清⽔焼団地の創⽴50周年を機に「京都のやきものの伝統、⽂化を守りながら新しいもの
に挑戦」をテーマに設⽴当時の組合事務所の敷地に新設する計画で、京焼・清⽔焼の美をこれからの50年
に伝えていくことを第⼀に考えました。
華やかなやきものや⼯芸品を引き⽴たせるため、単純な空間構成と構造体である「⽊」を現しとした意匠
で、できるだけシンプルに設計を⾏いました。
敷地は、清⽔焼団地のちょうど中⼼に当たる「団地のヘソ」ともよばれる場所で、⼿前には公園、背景には
緑豊かな⼭々が広がるとても静かな環境にあります。建物の存在感を抑えることで、背景の⼭々と公園と⼀
体となるよう意図しました。建物はできるだけボリュームを抑えた地上2階建てで、1階に展⽰スペースや
事務所及び、⼯房を配置し、2階に会議スペースと茶室を設けました。展⽰ホールは公園への視線の抜けを
確保した開放的な空間としました。柱ピッチをサッシの対応可能⼨法から経済的な2,730mm を採⽤し、
サッシ枠を隠し柱⾃体を際⽴たせる納まりとすることで、外部の豊かな⾃然を引き込むことができました。
仕上げはできるだけ⾃然素材を使⽤し、⽊部と柔らかい⾵合いシラス壁掻き落しで外部に落ち着きを与え、
シンプルな⼟間に「⽊」の存在感が内部空間に⼒強さを与えています。
清⽔焼の郷会館は京焼・清⽔焼のアンテナショップとしての役割もさることながら、組合の⽅たちの憩いの
場としての空間でもあります。これまでの50年を築いてきた世代と、これからの50年を築いていく次世
代との「伝えていく場」となる建築を⽬指しました。